ひさしぶりにブログを更新します。
身体の不調+永遠に続く忙しさから、ブログを書く時間がなくなってしまっておりました。
書きたい事は山程あるのですが、工房で過ごす時間を優先してしまうのが現状です。

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久々にシャフト材が入りました。
2年前にカナダからケベック州産のAAAシャフト材100本程度を試験的に仕入れたのですが、赤系シャフト材は仕入れようとしても仕入れられませんので3年前から途絶えておりました。
今回、運にまかせていた赤系の材がある程度まとまった量で仕入れる事が出来、テンションがかなり上がっております。
(それもあってブログを更新する気になった事もあります)
仕入先は5年ほど前にブログに載せた赤木シャフトの材を仕入れた業者と同じです。
といいますか、そこしか仕入先がございません。
私がシャフトを作り始める前からの付き合いのある業者なのですが私の要望を全て理解されておられる方なので、今回仕入れた材はほぼ全てを満たしておりました。


以前にも掲載しておりますが、そのような材が欲しくてアメリカやカナダなど、調べられるビリヤードサプライヤーから木材業者に問い合わせてみたのですが、最終的には相手にされなくなった経緯があります。

1.材強度
2.目通りがほぼ真っすぐ
3.年輪の目が詰まっている
4.材質が均質に詰まっている
5.比重範囲指定
6.枝の近くの部位は不可
7.樹皮に近い部位は不可
その他
上記が私が決める「一般的」なシャフト材としての「最低限の条件」です。

その中でも私が求めている材は、
A.赤身に近い白太側
B.産地
C.冬目の色
D.寝かせた年数
その他色々
私の英語力の無さもあるのですが、見ず知らずの他国の個人からそんな事を片言の英語で要望しても、相手にされなくなるのは当然です・・・

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写真を見てください。
バーズアイの小さい目がところどころに散在しております。
「小さい目」「ところどころ」というのがミソです。
また、現地で製材後20年以上寝かせた材です。
※大きなバーズアイは不可です。
※選択の根拠を説明しだすときりがないので、またいつか書きます。

赤木についてもまた書きますが、アメリカ東部にはカナダへと続くアパラチア山脈があります。
昔のシャフト材はその山脈(その中でも北部と思います)が産地であったものが多かったらしく、「アパラチアンメイプル」と呼ばれていました。
その中でも硬く締まった材が好まれ、その色の冬目は引き立って強く、全体の色が濃く見える事から赤木と呼ばれたようです。
現在は計画植林と計画伐採されているので、入手はほぼ無理となりました。
アメリカ五大湖の周りはメイプルの産地として有名ですが、その中でもミシガン州は最高のメイプル産地であり、とりわけバーズアイはすばらしい材が採れます。しかしウイスコンシン州は家具に使われるようなメイプル材でありキューには向いていません。

尚、「シャフトはカナディアンメイプル使用」という謳い文句を良く見ますが、言葉の響きが良いので惑わされがちですが作っている私から見れば普通の事です。
間違った材ではない事は確かだと思いますが、取り立てるような事ではありません。
書き出すときりがないので、これもまた改めて書きます・・・


現在私は「赤木」とは呼ばず、「赤系」と呼びます。
アパラチアンメイプルの赤木を仕入れる事は出来ませんが、同等と思われる材は「赤身に隣接した部位」にあります。
当然、他にも色々条件がありますが。
過去に古くからビリヤードをやっておられる方から、「赤身に近い、硬くて締まった部位のシャフトを赤木と呼ぶ」と聞いた事がありましたが、厳密にはアパラチアンメイプルかどうかの判断が出来ませんので、現在の私は総合して「赤系シャフト」と呼ぶことにしております。

「赤身に隣接した部位」であればどんなハードメイプルでも良いというわけではありません。
※過去にアパラチア山脈の北部(五大湖に接したメイプル産地として有名)から赤身に近い部位のAAA+(20本/1inch)シャフト材を仕入れた事がありますが、非常に綺麗な材だったのですが、求めていた特性とは異なっておりました。
よって一般的なAAAシャフトになるであろうハードメイプルの赤身隣接部位を入手したとしても、私が求める赤系材とは異なります。

緻密で強度があり、十分寝かせてあり、極小バーズアイ散在、色は若干飴色、柾目は艶々・・・
見ていて嬉しくなってくる材です。

木の動きを見ながらの切削なので未定ですが、3年後にノーマルシャフトとなる予定です。
※実際は一般的なAAAシャフト材に比べて木の動きが非常に少ないので狂いが出にくいです

最後の写真は、
右:AAAハードメイプル ※15本/inch
左:赤系ハードメイプル ※色艶が違います
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