このブログを見にこられる方の検索ランキングを見ておりますが、タップが取れることで調べておられるかたが非常に多いです。

もう一度タップが取れるという現象をまとめてみます。

※まだ読んでない方は、以下のブログを読んでおかれるとよくわかると思います。

『タップ交換のポイント』
『タップと接着剤の関係』
『取れたタップの再取付』


タップが取れる原因
1.経年劣化
2.接着面の整形不良
3.不適切な接着方法

1においては、ここでは語ることでもないでしょう。1年以上取れないのであれば、それは接着面の経年劣化です。
尚、それでも1年経過してから取れるということは、やはりどこかに不良部分があったということでもあります。
※取れないタップは何年経過しても取れません。以下をお読みください。

一番多い原因は、2と3です。

■接着面の整形不良■
 まずは以下の図を見てください。
 不完全な整形面に一番多いのが、図-1のパターンです。
図-1

手作業(カッター等)にて先角整形を『不適切な角度、もしくは不安定な刃の当て方』にて行った場合に多くありがちです。
周囲がタップと浮いてしまうため、最初は接着剤が入っていても衝撃によってだんだん浮いていきます。その部分にはチョークの粉が入り込み、粉がクサビとなって接着剤を押し広げていくのです。
又、タップの接着面整形でも同じ事です。サンドペーパーの上にタップを押し付けてゴシゴシやって終わりとしている方、間違いなくタップの接着面は凸面となっています。この方法での平面整形は、100パーセント不可能と思っていいです。

 次に図-2のパターンです。
図-2

これは先角整形ツールを使用した場合の整形面です。(全てのツールがこうなるというわけではない)
中央が必要以上に窪んでいるために、接着剤の乾燥収縮によって中央が浮き、接着面は周囲のみとなります。
この場合はチョークの粉が入り込んだりしないために完全に接着されているように見えますが、何かの拍子で撞いた音が、『ぺチン』と言うことがあります。毎回ぺチン音が出なくとも、もし音が出た場合はこれを疑ってください。
 ※ぺチン音は積層タップの積層接着部分の浮きによる場合もありますが、タップを取り付けてすぐにぺチン音がするのであれば積層部分の浮きによる原因は少ないと思います。
 案外、このままで撞き続けておられる方も多いのではないでしょうか。ただし敏感な方は、撞感の違和感は感じられると思います。すぐに交換をお勧めします。

■不適切な接着方法■
 『タップと接着剤の関係』でも書いておりますが、積層タップなどの接着面指定があるタップと、ブルータップ・一枚革タップなどの面指定が無いタップでは考え方が変わります。
たとえ図-2のパターンで整形された先角であっても、ブルー・一枚革はある程度は追従するのですが、現在一般的になっている積層タップではこれが不可となるのです。
それだけ積層タップ(接着面指定タップ)の取付には細心の注意を払って先角整形をしなければならないということなのです。
 また、瞬間接着剤はすぐに乾燥するというのは過信しないでください。空気に触れているからこそ揮発して接着するのであり、接着面の中央部分はすぐには乾燥しないということを十分理解してください。図-2の状態にて取付後すぐに撞きはじめる方、どういう状況で撞いているか想像できるのではないでしょうか。
ちなみに私は取付(対衝撃性瞬間接着剤)から6時間以上は放置するようにしております。
※6時間が正解というわけでは無いかもしれませんが、あくまでも私の決め事です。

~最後に~
 不器用な人は努力しても器用にはなれません。
しかし、繰り返し練習することによって上手になることは出来ます。
器用な人でも結局どこかで妥協する(これで良いという時点を決める)から完成となるのです。
不器用な人・経験の少ない人でも、先角整形(タップ面整形も同様)に時間を割き、ゆっくり丁寧に妥協を許さず作業することによって、目的に近づくことが出来るでしょう。