タップを交換するにあたって、自分で交換したりショップに依頼したり、または常連さんにお願いしたり、人それぞれだと思います。

道具と方法が間違っていなければ、人によってその過程は様々であっても良いと思っています。
要はしっかり接着されており、タップを傷めないうように成型されていればいいわけですから。


 さて、一つ実例を上げてみましょう。

 いつも先角成型ツールを使って取り付ける方に依頼している方がいました。そのツールが先角の中央を少し窪ませる仕様だと、瞬間接着剤では中央が空洞になると以前書きましたが、毎回その方に取り付けてもらっているため、常に中央が少し窪んだ先角になっています。(中央が浮いている状態が良いとは言えないが)。プレーに影響があまり無かったのでしょう、性能に影響していない程度であろうことからその事に関してはあまり関与しません。尚、毎回同じツールであろうことから、タップの再取付では当然先角はほとんど削られません。

そのシャフトのタップ取付をある日、依頼されました。
少し削っただけでポロリとタップが取れる事から取付方法がある程度想像できます。

私は先角の平面を完全に出してタップを取り付けます。ゆえに先角の周囲を削ることになります。(当然窪んでいない先角であれば、削ることはありません)
その深さが0.2mm程度だとしましょう。たいして強度上問題無いと思うのですが、先角交換の依頼者変更が10回あったとします。先角が2mm薄くなるのです。2mmって結構問題あると思うんですよ。
すぐに割れるというわけではないと思いますが、確実に強度が落ちます。


一般的な先角の構造は下記図を参照してください。

シャフトの木部と先角のキャップとの間に、制作過程上出来る空洞があります。よって撞いた時の力は、先角の周囲(空洞部分の廻り)からシャフト木部へと伝わります。
先角キャップ部分が薄くなるほど力の伝わり方が弱くなり、キャップにて力が吸収できないほど薄くなった場合、割れる、若しくは周囲を残して陥没します。

先角構造


人によって取付方が違うために起こる弊害です。



タップの取付は、取付に問題なければ(問題があるとしても使用者が気にしなければ)、なるべく同じ人に依頼したほうがいいと思います。